第11回 『ブライダルサポート岡崎センター』 愛知県豊田市の結婚相談所

2019年07月05日




会員との面談では「雑談」も大事にしていると語る寺下さん。「打ち解けてもらえるとお互いにやりやすいです」


キレイ事ばかりを言わないことが信頼関係を築くコツ


 結婚とは、本人同士の恋愛感情だけでなく、生活や仕事、親きょうだいなどがすべて関係する。まさに人生を分かち合うのだ。その重要な相手を見つけるお手伝いをする結婚相談所を経営するのは、多様な経験を積んでからでも遅くない。

 寺下愛さんが東京から愛知にUターンをしたのは2012年。今は亡き母親が高齢になり、結婚相談所「ブライダルサポート岡崎センター」の跡継ぎを欲していたのが最大の理由だ。岡崎市を中心とする愛知県三河地方が主な営業地域である。

「知らない人と会って話すことが楽しそうだと思いました。母も休みなく働いていましたが、私もオンとオフの境は必要ないほうです。会員さんからの電話は出られるときはいつでも出ます」

 東京では業務用の音響機器販売会社で14年間も営業の仕事をしていた寺下さん。そのときの経験が自然と生きている。

「私のお客さんはレコーディングスタジオやテレビ・ラジオ局のスタジオで働く人たちでした。いわゆる音楽業界ですね。そこではセールスセールスするのではなく、仲間としてどうやったら一緒にいい映像や音を作れるのかが大事でした。相手が何を欲しているのかな、と思いながら同じ方向を見て仕事をするのは今でも変わりません」

 自分よりも年上の男性会員が相手でも腰が引けたりはせず、むしろ得意だと言い切る寺下さん。マニュアルトークなどはせず、キレイ事ばかりを言わないことが、信頼関係を築くコツだという。

「友だちを作るときと同じですよね。相手を知り、自分のことも知ってもらいながら付き合いを深めていくためには、決まりきったことなどは話さないでしょう?」


もう一つの仕事は、「健康麻雀」の講師業


 寺下さんの趣味は「健康麻雀」。東京に住んでいた頃からの趣味で、現在は愛知県内で週3回も講師を務めている。健康麻雀とは「賭けない・飲まない・吸わない」をモットーにした麻雀だ。手を動かし、会話もし、頭も使うので認知症予防にもなるらしい。

 生徒は高齢者が多いので、麻雀の複雑なルールを教えるのは根気がいる作業だろう。しかし、寺下さんは相手の学習ペースに合わせて励ましながら指導をしている。この教育経験は結婚相談にも役立っているようだ。

「アドバイスをするタイミングは考えますね。例えば、57歳の男性が40歳の女性にお見合いの申し込みをしたとします。年齢差があるので断られることがほとんどです。でも、最初からそれを言っても本人は納得しないでしょう。何度かやってみて、断られることが続いたら、『どうして断られたんでしょうねー。もう少し、相手の年齢を上げてみましょうか』とアドバイスしています」

 20代前半で短い初婚経験のある寺下さん。愛知県に戻って来てから再び結婚したいと思えた。

「フリーの人がいたら紹介して、と周囲に言って回りました。母親からは『いい会員さんを優先的に回すよ』なんて言ってもらいました(笑)」

 最終的には母親の友人の紹介で現在の夫との再婚を果たす。39歳のときだった。以来、結婚生活の良さをしみじみと味わっている。

「若いうちは一人でも平気だったけれど、40歳を超えて来ると心配になりますよね。もし倒れたら誰が助けてくれるの、とか。料理をするとしても一緒に食べてくれる人がいるとやる気が違います。うちは毎日、晩酌です。夫も飲むのが好きなので、止める人がいません(笑)。休肝日もありません。健康に飲めるうちに楽しく飲んでおかないと!と思っています」




平野が広がる愛知県岡崎市。素敵な沖縄料理店でお茶をしながら寺下さんのお話を伺いました


母親から継いだ結婚相談所。「死ぬまでやれる仕事です」


 結婚によって精神的にも経済的に安定したと実感している寺下さん。仕事は今のところ健康麻雀講師との2本柱で無理をせずに「死ぬまで」続けていこうと思っている。他界する直前まで会員との連絡を取り続けた母親の姿が忘れられない。

「病院でも携帯で会員さんと話していました。母が亡くなり私が引き継いだことを報告すると、電話口で号泣した会員さんもいます。私と同世代の女性で、『先生のことを母みたいだと思っていました』と言ってくれました。そこまで頼りにしてもらって、母としてもやりがいがあったんだろうなと思います」

 母親は25年以上、結婚相談所の仕事を続けていた。見知らぬ人からの問い合わせ電話にも「大丈夫です。ご縁があれば結婚できます。いずれにもしてもご縁ですから」と力強く答えていた。

「ほっとさせられるパワーを持っていた人でした。キャリアの浅い私には母の真似はできません。でも、私なりのやり方で会員さんと向き合ってお手伝いをしていきたいと思います」

 あくまでも自然体な寺下さん。20年後、多様な独身者から頼りにされる「三河の仲人おばちゃん」になっている気がする。(取材日:2018年12月9日)




●結婚相談所 ブライダルサポート岡崎センター』について 詳細情報、お問い合わせはこちらから