第27回 『結婚相談所いちご一縁』 東京都豊島区の結婚相談所

2020年08月05日




Zoom上では「結婚相談所でも学習塾でも裏方なので写真を撮られるのは苦手です」と照れまくっていた江口さん。面白い人です


仕事もプライベートも先が見えなかった20代半ば。結婚していない自分は人間としてダメ?


 1988年生まれの31歳。立教大学卒。結婚相談所「いちご一縁」代表の江口菜美さんは、一見すると育ちのいい清楚な若奥様風の女性だ。

 しかし、結婚相談所を始めるまでの20代を振り返ってもらうと、仕事でもプライベートでも先が見えず、自信が全く持てずに苦しんでいたことがわかる。結婚に焦って「依存タイプ」の男性と無理に交際して婚約破棄に至った経験もある。意外と苦労人なのだ。だからこそ、婚活で大変な思いをしている人に辛抱強く寄り添えるのかもしれない。

「大学卒業後の3年間は通信制の高校で国語教師をしていました。複雑な家庭で育ってきた生徒もいます。でも、視野が狭い私は社会のことを何も教えてあげられません。閉塞感が強まって退職しました」

 勤め先の高校を自分も「卒業」してしまった後も江口さんの迷走は続く。非常勤の教員をしながらカフェバイトなどを試すが、適職だと思える仕事は見つからなかった。

 一方で、25歳ごろから学生時代の友人たちが次々と結婚をし始めた。大卒者の結婚第一波である。ちなみに第二波は30歳直前、第三波は35歳直前に来やすい。

「結婚していない自分は人間としてダメ!なんて思いこんでしまいました。結婚した人たちは数年交際してからだったので、彼氏もいない私とは文脈が違うのですが、そんなことは目に入らずに焦っていました」






結婚に焦って交際し、婚約破棄してしまった過去。だから、会員が納得するまでとことん付き合う


 焦燥感に駆られて交際を始めたのがSNSで知り合った1歳年下の男性。両親にも紹介し、10カ月後には婚約する。しかし、「マリッジブルーを超える憂鬱」に襲われて婚約破棄に至る。

「私自身がこんな経験をしているので、とにかく結婚する先行してしまう人の気持ちはよくわかります。離婚を否定するつもりありません。でも、せっかく結婚するならば持続可能な関係性を築いてほしいと思っています。結婚相談所を始めてからは、会員さまが交際相手に違和感を持っていたらその解消にとことん付き合うのが私のスタンスです。どうして納得できなかったら交際をやめたほうがいい、とお伝えすることもあります」

 結婚相談所を開業する前、江口さんは都内で婚活イベントを主催していた。自らの出会いを増やす狙いもあったが、イベントをきっかけに結婚する人を見るたびに「生きがい」すら感じた。途中からは仕事として責任感を持って取り組み始める。

「私のイベントをきっかけにして新たな家族ができることにすごく感動しました。私が把握しているだけで13組の結婚カップルがいます」

 実は、江口さんも自らが開催したイベントで現在の夫との出会いを果たしている。7歳年上で結婚歴のある男性だ。主催者なので自分からは声をかけられなかったが、彼のほうから「お話をしてみたいです」と言ってくれた。損得勘定抜きで江口さんを大切にしてくれる人だ。

「心が温かい人なので離婚したことには深く傷ついていたようです。当時は私も不安定なところがあって、自信を持って結婚するまでに3年かかりました」

 いずれにせよ行動したからこそ生まれた縁である。人生を変えるきっかけを作るような仕事をライフワークにしていきたいと江口さんは強く感じた。






気合を入れて婚活している人に自分は何ができるか。調べた末に行きついたのが結婚相談所だった


 一方で、江口さんはイベントの限界も感じていた。男女それぞれ6人ずつ集めて引き合わせることが多かったが、女性から「いい人がいなくて残念だった」という声を多く聞くようになったのだ。

 1回きりの参加で「運命の人」に出会おうとするのは無理がある。しかし、それだけ気合を入れて来てくれている人の期待に応えられないのは悔しい。江口さんのやる気に火がついた。

「いろいろ調べた末に行きついたのが結婚相談所とIBJです。IBJの会員データベースを閲覧できるので、会員さまの理想の相手にお見合いを申し込めます」

 その相手がお見合いを受けてくれるかは別問題である。実際は、スペックが高い男性には申し込みが殺到するため、よほど若くて美しい女性でないとお見合いすら実現しにくい。

しかし、江口さんは「気が済むまで申し込んで、経験を通して納得してもらう」ことを重視している。その後、じっくり話し合いながら、「もしかするとこの条件は要らないかもね」と細かく調整していく。無理に結婚を急かしたりはしない。

「私自身もいろいろあり、ようやく納得できる結婚生活を送れています。会員さまにも気持ちのモヤモヤをほどいてから結婚してもらうのが原則です」






江口さんの趣味はライブ鑑賞とタロット占い。
「タロット仲間でもある元会員さまに『いちご一縁』を占ってもらいました」(江口さん)


人と人の化学反応は本当に面白い。そのきっかけを提供できる仕事は素晴らしい


 いちご一縁の開業は、自らが結婚する前の2018年。平日は学習塾で講師として働いている江口さんは、国語教師だったキャリアを結婚相談所の仕事にも生かしている。会員のプロフィール作成に文章力を発揮できているのだ。

「特に衣食住に関してはわかりやすく具体的に書くようにしています。人柄が伝わるようなエピソードを添えられるといいですね。男性のプロフィールにも得意料理などを入れて、性別ではなく人としての魅力を伝えたいと思っています。女性だからといって『いい奥さまになりそう』なんていう決めつけはしたくありません」

 学習塾では小学校から高校までの子どもたちと向き合っている。ちょっとしたきっかけで「やる気スイッチ」が入り、受験を通して成長していく子どもは少なくない。

 いい意味で「ガラッと変わる」のは大人も同じだ。いちご一縁に登録した頃と比べ、良き人との結婚が決まって退会するときには別人かと思うほど雰囲気や発言が明るく変化する人がいる。

「人と人の化学反応は本当に面白いです。そのきっかけを提供してサポートできるこの2つの仕事は素晴らしいと思っています。一生続けるつもりです」

 人は変われる。もっと幸せになれる。自らの努力と、素敵な他者との出会いによって――。それを自分自身も体験しているからこそ、江口さんは覚悟を決めて会員と向き合っているのだ。インタビューを終えたいま、「いちご一縁」という屋号への納得感が増している。(取材日:2020年7月27日)






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