第26回 『サニーソウマリッジ』 京都市中京区の結婚相談所

2020年08月02日


「40歳を超えた頃から、『人生の前半が終わったな。後半は人の笑顔を直接見られる仕事をしたい』と思っていました。結婚生活も10年を過ぎて節目を感じていたこともあります」

 Zoom画面の向こうで、いかにも人が良さそうな顔をしているのは京都の平田誠二さんだ。20年間勤めた製造業のサラリーマンを辞めて、妻の未來さんが2019年の夏に始めた結婚相談所「サニーソウマリッジ」に参加したのは今年1月のこと。屋号を決めたりする準備段階から前のめりで関わっていたと振り返る。

「会社の社長からは引き留めてもらいました。でも、僕の気持ちを伝えたら『それなら仕方ない』と応援してくれています。社長の奥さんのお友達を会員候補として紹介してくれたり。ありがたいことです」

 子どもの頃から「笑うのも笑わせるのも大好き」だったという平田さん。高校時代まで打ち込んでいた野球では常にキャプテンもしくは副キャプテン。自然とまとめ役をしていた。

「人がいっぱい集まって楽しそうにしているのが好きで、社会人になってからは合コンを毎週末のように企画して、200人規模の飲み会サークルも運営していました。でも、僕はいわゆる遊び人ではありません。女の子が泊まりに来ても何もしないような安全なタイプです(笑)。とにかく人の輪と縁をつなげていくのが好きでした」


第25回 『婚活サロン meet U』 東京都渋谷区の結婚相談所

2020年07月13日


 やたらに前向きで行動力があってちょっとお人好しな人が多い――。結婚相談所の経営者を訪ね歩く本連載を20回以上続けてきた感想だ。経営者と言っても、1人で運営している人がほとんどで、はっきり言って大儲けができる業態ではない。無性に人間が好きでぜひお世話したいという人物でないとこの仕事はできないのだと思う。

 2020年1月に開業したばかりのmeet Uの代表カウンセラーである菊池友美さんはある意味で典型例である。都内の喫茶店で待ち合わせをしてインタビューをしたが、開始15分後ぐらいには聞き手であるはずの筆者のほうがたくさんしゃべっていた。

菊池さんはとにかく話しやすい人なのだ。好意と好奇心を持ってこちらのことを聞いてくれているのがわかる。ビジネスの世界では「傾聴力」や「コーチング」というのかもしれないが、菊池さんの場合は天性のもののようだ。

「学生時代は地元のデニーズでアルバイトしていました。常連さんたちに気に入っていただき、『コーヒーのお代わりはお前からしかもらいたくない』なんて言われたり……」

 大学卒業を控えてアルバイトを辞めることを一部の常連客に報告したところ、真珠のネックレスや商品券などをもらったらしい。チェーン店のアルバイトスタッフがこの域まで達するのはすごい。菊池さんの人柄と努力がうかがえるエピソードである。

第24回 『センチュリーブライダル』 愛知県名古屋市の結婚相談所

2020年07月02日


 名古屋市中村区に来ている。超堅実ながらもド派手な結婚式で知られる尾張地方のど真ん中である。真黒の大型高級車で駅まで迎えに来てくれたのはセンチュリーブライダル代表の小野内有知さん。はっきり言ってかなりいかつい風貌だが、正体は4人の孫を溺愛する心優しい「泣き虫」らしい。見た目とのギャップが大きすぎる……。

「インバウンドの会社をやっていたときに中国人のパートナーからアドバイスされて髭を生やし始めました。中国人は髭のある男性を信頼するそうです」

 バブル世代特有の軽やかな口調で話してくれる小野内さん。旅行関係の専門学校を卒業してからの約20年間は旅行会社で働いた。添乗員として国内外を旅する日々は楽しく、営業も苦手ではなかった。しかし、団体旅行の減少やネットの台頭により、新たな道を模索することに。38歳の時だった。

「友人が経営する医療系の会社で介護事業を一緒に立ち上げることにしました。訪問介護ステーションやホームヘルパー事業所です。10年ほど続けて軌道にのりつつあったのですが、オーナーである友人との意見が分かれて辞めることになりました」

 小さな結婚相談所の経営者には小野内さんのようなタイプが少なくない。仕事熱心ではあるけれど、雇われて働くことには向いていないのだ。顧客満足を追求するあまり、組織とぶつかってしまうこともあるのだろう。ならば、自分でやるしかない。2012年、小野内さんが結婚相談所センチュリーブライダルを設立した。

「京都の知人が20年以上も結婚相談所を続けていて、幸せな仕事だなと感じたからです。私も『仲人がしたい』と思いました。会員に寄り添い続けて、最後に一緒に涙を流す。成婚料を含めて30万~50万円ほどの料金はいただきますが、それで一生のパートナーを見つけられるならば安いものではないでしょうか」

第22回 『マリーミー』 東京都渋谷区の結婚相談所

2020年03月02日



 一度でも本気で婚活をしたことがある女性ならば、結婚相談所マリーミーの代表である「植草美幸」という名前を知っているだろう。テレビやラジオ、雑誌に文字通り引っ張りだこの人物だからだ。

 マリーミーは現在、植草さんを含めて9名のスタッフで運営している。東京・表参道にある事務所を訪れると、人の出入りが多く、しかも対応が迅速。成長中の会社に共通する精気のようなものが伝わってきた。

「土日は10人以上の会員さんを1人45分間でカウンセリングしています。私のカウンセリングを受けた方はスッキリした顔で『元気になりました!』と喜んで帰りますね。私のほうは疲れますよ。あまりに疲れるので、もうやめようかなと思ったこともあります。でも、それではみなが困るでしょう」

 自信に溢れながらもざっくばらんに語ってくれる植草さん。自ら約50~80人の会員を常に担当し、自分の子どもをみるような気持ちで応援し続けている。インタビューをしていると、そのパワーと魅力の背景には生い立ちと経歴が強く影響していることがわかった。

「私の父は北九州で鉄工所を経営していました。会社と家族ごと千葉に移転することを決め、約30人の従業員全員と私たち家族を連れて引っ越したのです。九州人は心が熱く、義理と人情で結ばれています。最後の一人が退職するまで、80歳を過ぎても父は経営者であり続けました」

 その妻、つまり植草さんの母親もすごい。千葉に連れてきた若い従業員たちにお見合いをセッティングし、3カ月間で全員を結婚させたのだ。両親の後ろ姿を見て育った植草さんには「会社経営者は従業員の結婚や家族の世話もするもの」という大家族主義な考え方が自然と身についた。なお、植草さんには3人のきょうだいがいて、病院経営の弟も含めて全員が「創業社長」である。

第21回 『ラブライフバランス研究所』 東京都港区の結婚相談所

2020年01月21日


 Rushの水野さんという名前を聞いて、筆者は嬉しさで浮足立った。あれは15年ほど前のことだったと思う。ビジネス誌のインタビュー仕事で、合コンセッティング会社の創業社長として名を馳せていた水野真由美さんに会いに行ったのだ。やる気と行動力に満ち溢れ、説得力のある言葉で話す美人だったという強烈な記憶がある。

 その後、水野さんは合コン事業を婚活企業の大手であるIBJに売却し、自らはラブライフバランス研究所という結婚相談所を経営している。久しぶりに会ってもらい、あれこれ聞いてみたいと思った。

第20回 『マリッジナビ』 神奈川県横浜市の結婚相談所

2019年12月25日


「会員さんにも気が合う人がいてLINEのやりとりを楽しむことがあります。でも、仲人仲間はもっと面白い。壮絶な人生を歩んできて、『私はずっと矢面に立ってきた』と笑っている人もいます。会員さんが成婚に向かっていくときも、仲人同士の考え方が似ているととてもやりやすいです」

 横浜駅からほど近いマンションの一室に来ている。華やかなオーラを発しながら、やや早口で話してくれるのはマリッジナビの石田由美さん。自身は20代後半で結婚し、開業医の夫との間に二人の子どもを授かり、長く専業主婦をしてきた。今では仲良しになった義母との嫁姑関係に苦しんだこともあるが、「すぐに忘れちゃうタイプ」なので乗り切って来たらしい。おそらく経済的な苦労をしたことはないだろう。世間ずれをしていない、いい意味でのお人よしなのだと思う。

 お人よしには想像力に欠けて無神経な発言をする人もいるが、石田さんはそのような傾向はない。結婚8年目の筆者には子どもがいないことを話すと、石田さんはさっと表情を改めて、自分の子どもが大病を患ったときに失神しそうなほど心配したエピソードを話す。人はそれぞれの立場で苦労があり、幸せもあることを伝えたいのだろう。客観性を失わない姿勢は仲人としての仕事にも貫かれている。

「会員さんが無事に成婚したときにも、『私が2人を結婚させた』なんて恐れ多いことは思いません。くっつくものはくっつくし、無理なものは無理なのです。多少のアドバイスはさせていただきますが、余計な口出しはしません。交際が始まった後で、2人があまり会っていなかったとしても、相性は悪くないかもしれないのです。私の思い込みで勝手に交際終了するなんてことはしません」

第19回 『最短結婚ナビ』 東京都中央区の結婚相談所

2019年12月21日


「最短結婚ナビ」という名称からして上手だな、と感じた。代表の鎌田れいさんは30年以上のキャリアを持つフリーライターでもあり、言葉のセンスを磨き続けているのだろう。東洋経済オンラインでの人気連載「仲人はミタ」の記事を読んだ人からの問い合わせが多いそうだ。

「私の考え方を理解して共感をしてくれた方が相談に来ていただけるので、ミスマッチは少ないと思います」

 鎌田さんの考え方を突き詰めた言葉が「最短結婚」なのだが、その手法については後述する。鎌田さんがなぜ結婚相談所を始めたのかをまず知りたい。筆者もフリーライターなので大いに気になるのだ。

「20代の頃から、芸能記事やドキュメント記事を中心に仕事をしてきました。ドキュメントは取材に時間がかかるので本数を書けません。量産ができる芸能記事で生計を立てて来たのですが、アイドルとはどんどん年齢が離れていくのでみずみずしい文章を書きにくくなって来ました。出版業界も低迷が続いていますよね。子育てがほぼ終わったので、ライター以外の仕事も何かやりたいなと思ったのです」

 ぶっちゃけ話をしてくれる鎌田さん。きさくな人柄のようだ。30年ほど前の出版業界は「無茶苦茶なバブル」で、某出版社などは湯水のように経費を使っていた、などの興味深いエピソードも話してくれた。具体的には書けない話ばかりなのでここでは割愛する。

「私が若い頃は、女性は25歳でクリスマスケーキのように値崩れし、31歳を過ぎた年越しそばは食えない、なんて言われていました。20代は仕事が楽し過ぎて結婚どころじゃなくて、30代になっても『私はどうにかなるだろう』と思っていのです。でも、どうにもなりませんでした」

せんでした」

第18回 『しあわせ婚活Miyabi(みやび)』 大阪府高槻市の結婚相談所

2019年10月15日


 小さな結婚相談所の個性と魅力をできるだけわかりやすく紹介し、本気で結婚したい個人とのマッチングの手助けをしたい。結婚相手と同じく、結婚をサポートしてくれる人との相性とご縁も大事だから――。そんな気持ちで始めた本連載も18回目となる。

「こんかつ山」に登録してくれた相談所のうち、筆者による取材を希望したところを順に回っている。取材先からお金をもらう広告記事ではないので、筆者が見聞きして感じたことをそのまま書くのが原則。「ハイクラスの男女会員が揃う」とか「成婚率No.1」などのありがちなPR文章にすると、横並びになって比較検討する余地が少なくなるからだ。もしくは不毛な価格競争に陥ってしまう。

読者の一部が「この相談所は熱心だけど私には合わない」と判断するぐらいのほうがいいと思っている。そうすれば、同じぐらいの数の人が「面白い相談所だな。私にはピッタリ!」と感じてくれるだろう。

 記事を読んで「このカウンセラーなら会ってみたい」と思ったら、気軽に無料カウンセリングを受けてみてほしい。できれば「こんかつ山」にユーザー登録をして申し込んでほしいが(そうでないと「こんかつ山」の運営が成り立たず、本連載もいずれ消滅する)、各相談所のサイトから直接申し込んでもらっても構わないと筆者は思っている。

信頼できる結婚相談所との出会いはそれほど幸せなことであり、その影響は社会を循環し、いずれ筆者にも幸福のおすそわけが届く気がするからだ。良き結婚は、自分たちだけでなく家族や友人知人にも安心や豊かさをもたらし、社会を支える力になる。だから、結婚したい人はぜひ良縁を見つけてほしい。そのためには、自分に合った結婚相談所に入会するのが近道だと筆者は本連載を通して確信している。

第17回 『ファニーキープス』 神奈川県横浜市の結婚相談所

2019年10月06日


 「楽しく婚活をして、いい方と結婚できたらラッキーだな~、ぐらいの余裕な気持ちで動きましょう、と会員さんには伝えています」

 ここは神奈川県の東神奈川駅近くにあるマンションの一室。穏やかな笑みを浮かべながら軽い口調で話してくれるのは結婚相談所ファニーキープスの佐藤隆嗣さん。42歳の筆者よりも少し年上かなと予想したら、なんと57歳。大学4年生のお子さんもいるらしい。とても若々しく見えますね、と声をかけたら本人も否定しなかった。

「そうですね。40代には見られます。精神年齢はもっと若いです(笑)」

 威圧的ではなく、卑屈でもない。会員には上から目線の指導はせず、友だちのような対等さでフレンドリーに接する。そして、辛くなりがちな婚活を楽しんでもらう。佐藤さんの信条であり、大きな武器でもある。

「私が続けている婚活ブログを読んで、面談に来てくれる方が多いです。ユーモアやギャグを織り交ぜて書いているブログなので、初対面なのに親しみを持ってくれているようです。私が普通に話しているだけなのに、顔を見て吹き出す方もいます」

第16回 『Bridalチューリップ』 東京都豊島区の結婚相談所

2019年09月19日


 結婚相談所の訪問取材を続けていると、会員のお世話をしている相談所に対して筆者が「余計なお世話」を言いたくなることがある。例えば、恋活・婚活アプリ大手のペアーズなどが独身証明書の提出を必須にした婚活サービスを始め、相談所の領域に進出していること。うかうかしていると相談所の存在意義が失われてしまうのではないかと心配になるのだ。

 他にも言いたい。相談所は結婚という人生の重大事において顧客と関わっているのに、リピート客を前提としていないビジネスモデルであることが多い。客の側としては、1日も早く結婚して相談所と縁を切ることが目的となってしまう。常に新規顧客を求め続けるのは疲弊するし、健全なビジネスとは言えない。

 このような筆者の心配を解消する試みをしている結婚相談所がある。東京・高田馬場に本拠を置くBridalチューリップだ。代表取締役の桑山裕史さんに会い、まずは10年前に起業した経緯から聞くことにした。

「無縁社会の解消が弊社のビジョンです。私自身は30歳で独立することを決めていました」

 大学卒業後に大手の通信販売企業に就職し、シニア層向けに高額商品を販売する部門に配属された桑山さん。経済的には裕福でかつ健康な60代70代の顧客から、「一人だと寂しくて辛い」「死にたい」といった声を聞いて驚いたと振り返る。起業後、孤独の解消という深刻なニーズに応えるビジネスを試行錯誤。現在はシニア層の子ども世代である人々の結婚支援に注力している。将来の単身高齢者を一人でも減らすことが目的だ。